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Channel: 学会参加報告 –日本バーチャルリアリティ学会
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IEEE Haptic Symposium 2016 参加報告

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|◆ IEEE Haptic Symposium 2016 参加報告
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中村 拓人(電気通信大学)
 2016年4月8日〜4月11日にアメリカ,ペンシルバニア州フィラデルフィアにおい
てIEEE Haptics Symposium 2016が開催された.本学会は人の触覚認知,触覚ディ
スプレイ,触覚センサなどの触覚に関する幅広いトピックについて発表する学会で
あり,2年毎に開催される.今年の発表はフルペーパー52件(投稿数108件,採択率
48%), Work In Progress(ポスター発表) 31件(投稿数44件,採択率70%),デ
モ展示26件であった.発表はシングルトラック18件とデュアルトラック34件の構成
で行われた.
 Best paperにはUniversity of PisaのBianchiらの「A Wearable Fabric-based
Display for Haptic Multi-Cue Delivery」が選ばれた.この研究は受動的・能動
的両方の指の接触を再現し,指先へ提示するウェアラブルデバイスである.本研究
では2つのDCモータによって指に接触しているベルトの巻取り方向・量を制御する
ことで物体の剛性を再現し,サーボモータとカムを用いて,指への接触・非接触を
制御していた.この他にも指先や指関節への触覚提示を行うデバイスの開発・評価
を行う研究は多く採択されていた.
 個人的に気になった発表は,振動子によって非対称な加速度(大きな加速度の後
に逆方向の小さな加速度するような振動パターン)を指先へ提示することで牽引力
を誘発させる研究だ.新たな振動子の制御手法や,現象のモデルを立て検証するこ
とで提示振動波形の最適化を行うなどの発表が行われた.これまで幾つかの非対称
な加速度を用いた類似の報告があったが,今回の発表により詳細な振動のパラメー
タが明らかになり興味深かった.
 デモセッションでは半身不随患者の支援デバイスとして,動かない腕に第3の指
となるデバイスを装着し,健康な指で制御することで,両手でなければ難しかった
作業を可能とした.また,超音波を掌側から出力し手の甲側で収束させ触覚提示す
る研究もあった.筆者も体験したが,かなり強い刺激を手に感じることができた.
さらに,DCモータを振動子として使うというデモがあり,先ほど紹介した非対称
な加速度提示をして牽引力提示をしたり,スピーカのように入力振動をDCモータに
よって再生したりしていた.
 次回の学会は2018年に開催予定で開催地は未定である.しかし,同じ触覚に関す
る国際学会であるEuroHaptics(2016年7月, ロンドン)とAsiaHaptics(2016年11
月,柏の葉)は今年開催され,来年にはWorld Haptics(2017年6月,ミュンヘン)
で開催されるため,触覚に興味のある方は参加してみるいい機会となるだろう.

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